2013年7月1日に誕生した、シュレッダーの新ブランド「Shred Gear」。なかでも、同年11月1日より販売を開始した「Shred Gear shohka6s」は、国内メーカーで初めて世界最小レベルの超極小細断を実現し、国内外で高い注目を集めています。
その「Shred Gear」の生みの親である“シュレッダー界の風雲児”松本弘一(㈱サカエ代表取締役社長)が、シュレッダーが必要とされている現場を訪ねます!
今回は、宝印刷株式会社の堆(あくつ)社長と総務部の市川さんを訪問しました。

ディスクロージャー専門家の生命線は
機密情報の管理能力にあり

photo02.jpg宝印刷株式会社代表取締役社長      堆(あくつ) 誠一郎さん 松本 : 宝印刷さんは一般的な印刷会社ではなく、ディスクロージャーとIRという企業の懐に深く入り込まないとできない制作を手がけていますが、情報管理はどのようにしていらっしゃるのでしょうか。

堆社長 : 当社では、上場会社の決算情報とか、株価に影響を与えるようなナイーブな情報をお客様からお預かりし、それを公表するために加工して印刷します。扱うのが未公開情報ですし、とくにファイナンス情報はインサイダーに直結してしまう内容なので管理体制はシビアであり、情報漏洩にはもっとも神経質にならないといけません。印刷物としての正確さも大切ですが、それ以上に当社は情報に対する管理能力の高さ、セキュリティ性の高さが求められています。
そのお客様の機密情報はデータとして届けられ、データから印刷物を作ります。お客様とのデータのやりとりには、データの送受信を安全に行なうためにデータを暗号化する独自のシステム「TAKARA.DIC-NET」を導入しています。ひと時代前でしたら、お預かりした書類と印刷にまつわる有形物を守ればよかったのですが、今の時代は通信という目に見えないものにも厳しく目を行き届かせる必要があります。
さらに情報は、救命救急の現場で行なわれる、治療や搬送の優先順位をつけて負傷者を分類する「トリアージ」みたいに機密性の高さでランク付けし、部屋を分けています。作業者を限定しているのはもちろん、もっとも重要な情報を扱う部屋は電子キーとなっていて、部外者の出入りは厳禁です。私も入室できません。

松本 : お客様の社運がかかっていますから、情報管理はかなり徹底されていらっしゃるのですね。お客様からお預かりする機密情報はデータですし、印刷する原稿も完全にデータとなるわけですから、デジタル攻撃、つまりハッカー対策に万全を期すれば完璧なのでしょうか?

堆社長 : いえいえ、ペーパーレスといわれて久しいですが、やはり画面のデータを出力して確認する必要があります。当然、画面でもチェックしますが、人間はどうも画面だけではダメ。頭に入らないようで、見落としがちな傾向が否めません。なので、出力してじっくり確認するわけです。結局は紙!(笑) そして、チェックしたら速やかにシュレッダーにかけます。
たとえばメールのやりとりなど、お客様の機密情報に関することではなくてもパソコンから出力したものはすべてシュレッダーにかけて残しません。当社には情報管理体制をチェックするために、お客様がよく見学にいらっしゃいますので、この辺は徹底させています。


目の前で断裁できる
シュレッダー処理は理想的

photo03.jpg宝印刷株式会社総務部市川さん松本 : 印刷会社では不要になった書類などは溶解処理するとも聞いていますが、情報内容によって使い分けていらっしゃるのですか?

市川さん : シュレッダーにかけるのは、基本的には即処理できる内容と量で判断します。たとえば、お見積書。お見積書は一旦作っても、交渉で金額が上下しますから、これらは即処理です。ただ、先ほどの原稿チェックなどで出力した紙ですが、少しの期間とっておきたい、2~3週間ほど修正履歴を残しておかなければならないケースもあります。その後、しかるべき時期にまとめて専用の段ボール箱に梱包し、契約している回収業者で溶解処理します。

堆社長ISO9001認証(品質)とISO14001認証(環境)を取得していますので、溶解する最終処分場まで監査します。写真も撮って、報告書にまとめていますが、ときにはお客様を最終処分場までご案内することもあります。さらに厳しいお客様は、当社の情報管理体制を徹底的にチェックされます。

市川さん : オフィスではシュレッダーがちゃんと装備していることも重要なチェックポイントです。シュレッダーのいいところは、目の前で処分できるところにあります。処分方法としては理想的です。現在、本社では別館や分室も含めて20台ほどが稼動しています。溶解処理のほうがランニングコストはかかりますので、費用面でもシュレッダーは優秀です。


古紙のリサイクルは
本当に環境に優しい!?

photo04.jpg松本 : 最近では、シュレッダーにかけた古紙をリサイクルするマシンがいろいろ登場しています。トイレットペーパーになる「ホワイトゴート」*などご存知ですか?

市川さん : 古紙をリサイクルするマシンは海外でも話題になっており、私も「ホワイトゴート」のことは知っています。本当にトイレットペーパーができるんです。会議室ほどではありませんが、マシンのサイズがやはり大きく、マシンを置く周辺環境も整えないといけません。化学処理が必要なので、大量の水を必要としますし、それを排水しなくてはなりません。しかも、化学処理すると臭いも出ます。

堆社長 : 排水はつまり汚染水。そのままでは流せないから、問題ですね。当社も印刷工場の排水は、浄水装置を通してきれいに浄化させています。
前に製紙メーカーの古紙再生を見学したことがありますが、大量な漂白剤に圧倒されました。古紙を水に溶かすと真っ黒で、それを白くなるまで何度も漂白を繰り返すわけです。水を大量に使いますし、排水も出ます。古紙リサイクルがいいかどうかも悩ましいところです。

松本 : 先ほどのマシンでトイレットペーパーがつくれるといっても、1時間にほんの数個しかできません。費用対効果が出ないので、やはり普及していません。


「Shred Gear」
の使用感と未来の話

photo05.jpg左から、総務部の市川浩之さん、サカエの松本、宝印刷の堆誠一郎社長、総務部の高原陽子さん松本 : 実際に「Shred Gear」を使われての感想や課題をお聞かせねがいますか?

市川さん : 当社では「Shred Gear」の"senka25"を導入していますが、シュレッダーの進化には驚かされました。静音化しているし、あそこまで細かく細断できるとは。細断片のカサもぐっと減りました。
強いて希望を申せば、枚数でしょうか。自身がせっかちなものですから、バサッと投入したいんです。無事に紙が入っていくかどうか、毎度、固唾を飲んで見守ってしまいます。手にとって捨てやすい量が投入できるとうれしいですね。

松本 : 現在は65枚くらい、厚さにして1cm弱くらいが最も多く投入できるタイプですが、きっと100枚くらいをご希望なんでしょうね。あと、クリアファイルごと入れてしまう方も多く、熱で溶けてカッターに絡んでしまうトラブルがよくあります。

市川さん : あります、あります。なので、うちでは投入口に「クリアファイルは入れないでください」の文言を黄色いテープで貼っています。

松本 : それは恐縮です。取扱説明書には明記してあるのですが、うっかりされるケースが見受けられます。ほかにも、まだまだ改善点はあります。新聞紙をちぎるとわかるのですが、紙には目があるのをご存知ですか?実はシュレッダーは、紙の目に沿って投入していただいた方がカットしやすいんです。コピー用紙のような上質紙は大丈夫なのですが、再生紙だと極まれに細断片がつながってしまうことがあります。このようなことも今後改善していきたいです。

堆社長 : むむむ、シュレッダーも奥が深いですね。

松本 : シュレッダーは四角くて硬質なボックスですが、だからこそユーザーフレンドリーでありたいと願っています。小さな改善をコツコツと重ねて、「Shred Gear」をより多くの人に愛されるマシンに育てていきたいとおもいます。貴重なお話しをありがとうございました。



熱血社長         シュレッドの現場を行く VOL.01
■ 宝印刷株式会社 代表取締役社長
堆(あくつ) 誠一郎さん
 【 profile 】
1953年12月7日、神奈川県出身。77年3月、慶應義塾大学工学部卒業。86年1月、宝印刷株式会社入社。2002年8月に代表取締役社長に就任する。現在、印刷工業会の副理事長も務める。

■ 宝印刷株式会社 総務部 総務課長
市川浩之さん


宝印刷株式会社ホームページ
  http://www.takara-print.co.jp